大切な家族の一員であるペット。もはやそばにいない生活が考えられないほど、身近な存在になっていることだろう。
しかし室内飼いの場合、どうしても犬や猫の鋭利な爪によってフローリングが傷ついてしまうもの。せっかく新築した我が家も、数年でボロボロに…?とお悩みの方も多いのではないだろうか。
とはいえ、今後もペットは室内で飼っていきたいし、人間の都合でペットにストレスをかけたくもないという声も多く聞かれる。
今回は大切な住まいを傷つけず、人もペットも快適に暮らすための、傷の予防策や修復方法を徹底解説する。
自分でできる簡単なものから、プロによる確実な方法までまとめたので、実践して役立ててほしい。
補修前に確認すべきはフローリングの種類
ご自宅のフローリングを補修する際、まず確認しておきたいのがフローリングの種類だ。素材によって特性があるため、補修方法も異なる。
見た目で判断できない場合は、施工会社や不動産会社に確認をとるのがよいだろう。
無垢材
無垢材とは、伐採後の丸太から切り出した木材を、粉砕したり貼り合わせたりせず、サイズや表面の加工のみ施して使用する材のこと。
使われる材にはパイン(松)、スギ、ヒノキ、オーク、チーク、サクラなどさまざまな樹種があり、種類によって硬さや色、木目の表情などが異なる。木の質感をそのまま感じられ、調湿効果があるほか、自然素材なので体にも優しいという点で、健康を意識して家づくりをする人に用いられることが多い。
表面から内側まで同じ木材なので、傷ついてしまった場合は木そのものに水分を吸収させたり、表面を削ったりすることで補修できる。
水を吸わせる場合は、濡れタオルなどを置いて数時間放置すると自然に吸収する。その後、自然乾燥またはドライヤーで乾かし、表面に凹凸が残っているようなら、サンドペーパーで軽くこすって整える。
複合フローリング
複合フローリングとは、合板や集成材の表面に木目の化粧板を貼り合わせたもので、見た目は無垢材と変わらない。
しかし、複数の層を組み合わせてできているため、傷がつくとそこから表面が浮き、はがれてしまうことがある。また、はがれた部分に水をこぼしてしまったり尿ヨゴレが入り込んでしまったりすると、そこから染みになり戻すことができない。
傷が広がり表面がはがれる前に対処することが重要だ。
補修する際は、傷の深さによって専用の補修材で埋めるなどした後、表面に木目を再現することで傷や凹みを目立たなくするのが一般的だ。
あると便利な修復アイテム
ホームセンターなどで、フローリングの補修専用のアイテムが市販されている。傷がついたときにすぐに補修できるので、持っておくと便利だ。
傷補修材
フローリングについた傷や凹みを埋める補修材。表面の傷であれば十分対応できる。ソフトタイプはクレヨンのように塗って使用。ハードタイプは付属のコテやドライヤーで補修材を溶かして使う。
自宅のフローリングにぴったり合う色があれば単色で問題ないが、そうでない場合は複数色のセットを用意して傷の周囲の色に合わせて調色して使う。
ニス
傷が浅い場合は、表面にカラーニスを塗装するだけでも見た目は目立ちにくくすることができる。日焼けして色が変わってしまった場合にも有効だ。傷の部分に刷毛で塗布し、乾く前に乾拭きして周囲の色となじませる。
こちらも床の色に合わせて混ぜ合わせることができる。使用前には、事前に目立たない場所でテストするとよい。
木材用パテ
深い傷や凹みには、木材用のパテがおすすめだ。チューブに入った充填剤で木材の傷、割れ、凹みを自然に埋めてくれる。
パテで埋めた後に表面を平らにし、補修材やニスで整えるとよりきれいに仕上がる。フローリングだけでなく、テーブルやいすなどの家具にも使うことができる。
自分でできる傷の修復
フローリングに傷がついてしまった場合でも、ご紹介したようなアイテムを使えば、自分でも手軽に修復することができる。特に小さな傷なら最初から無かったように目立たなくすることができるので、チャレンジしてみてほしい。
ひっかき傷の修復方法
犬や猫の爪によるひっかき傷の場合は、補修材で修復することができる。気づいたときに、手軽に目立たなくすることができるのでおすすめだ。
【修復材(ソフトタイプ)】
1:フローリングと同系色のものを選び、傷に直接塗り込む。
2:はみ出した分を乾いた布で木目と平行の向きにすりこむ。
3:木目の色に合わせて木目を描きこむ。
実際に傷修復を行った動画がこちらである。
【修復材(ハードタイプ)】
1:フローリングと同系色の修復材を、ドライヤーで温める。
2:柔らかくなったら、付属のヘラに適量をとって傷を埋める。
3:フローリングにドライヤーを当てさらに溶かす。
4:傷からはみ出た分をヘラでこすり取る。
5:布や指でこすってなじませる。
こちらも同じ要領で行った補修動画があるので参考に見ていただきたい。
凹み・割れの修復方法
無垢フローリングに凹みや割れができてしまったら、瞬間接着剤と木くずによる修復が有効だ。
1:凹み・割れ目部分に入った埃やゴミを取り除く。
2:割れた個所に瞬間接着剤を流し込む。
3:接着剤が乾ききる前に、周囲を粗めのサンドペーパーでこすり、出てきた木くずで割れ目を埋めていく。
4:接着剤が乾いたら、表面を細かいサンドペーパーでこすってなめらかに整える。
プロに依頼した方が良いケースとは?
小さな傷なら家庭用の補修材で補修した方がコストもかからず手軽だが、傷の程度によっては、自分で修復せずプロに頼んだ方がよいケースもある。
目安として、大きさが15cm以上の傷や1mm以上の深さの凹みは、プロに修復を依頼することをおすすめする。
リペア業者とリフォーム業者の違い
WEBなどで検索すると、多くのフローリングの修復業者がヒットするが、その中にはリペア業者とリフォーム業者がいる。
部分的な損傷であれば、フローリングをはがしたりせず既存フローリングを部分的に修復するリペアの方が経済的だ。経年劣化により全体的に傷みが激しい場合や、床下地まで損傷している場合は、フローリングを一度はがして張り替えるリフォーム業者に頼むとよい。
リペアは既存物の補修、リフォームは交換と覚えていただければ良いだろう。
リペア事例(修復)
損傷した部分のみ、傷補修を施し表面を仕上げた状態。見た目には傷跡もわからないほどきれいに仕上がっている。
リペア事例(貼り替え)
傷・汚れの範囲が広い場合は、フローリングごと貼り替えて対応する。新品のフローリングになるのでもちろん傷や汚れは全くなく、一部でも傷・汚れがあるものだけを貼り替えるためコストは最小限に抑えられる。
しかし、画像のように部分張替の場合は、修復箇所と既存箇所とのギャップ埋め(色やツヤ合わせ)を行わないとツギハギのようになってしまう。
腕の良いリペア職人であれば、例え同じフローリング材が手に入らなくても、そこに損傷がなかったように部分的な張替えもおこなってくれる。
犬・猫ちゃんのつけた傷の補修事例
室内でペットを飼っている家庭の悩みとして多いのは、犬・猫ちゃんの爪によるひっかき傷だ。力の加減がないため勢いよくつけてしまうと、爪とはいえ深い傷になってしまうこともある。
自分で補修が難しい場合は、リペア・リフォーム業者に依頼すると元通りのきれいな状態になる。
価格の目安
実際、専門業者にリペア・リフォームを依頼するとなると、価格が気になるもの。参考までにリペアとリフォームの価格をまとめたので、目安にしてほしい。
【リフォーム】
・張り替え工法(8畳)…10~20万円
・重ね張り工法(8畳)…8~18万円
【リペア】
・傷・凹み・穴…1か所1万5千円~
・部分張り替え…3万5千円〜
価格はフローリングの種類によっても変動し、またリペアの場合は損傷サイズにより増額の可能性もある。見積りの際には材料新規取り寄せや、出張費等など別途費用が含まれているのかどうか、内訳も確認していただきたい。
傷の予防策
ここまで、フローリングについた傷の補修方法を紹介してきたが、もちろんできることならはじめから傷をつけないのが一番だ。ペットとともに暮らす家で負担なくできる傷の予防策があるので、ぜひ取り入れてフローリングを美しく保ちたい。
カーペットを敷く
最も手軽なのは、フローリングにカーペットを敷くこと。人の足元も暖かく、冬場に素足で歩いても冷たくない。カーペットを選ぶ際は、ペットの爪がひっかからないように、毛足が短く、ループ状ではないものがマスト。また、毛が落ちるのでウォッシャブルタイプがよりおすすめだ。
靴下を履かせる
犬・猫用の靴下を履かせるのもフローリングの傷予防に効果的だ。外から帰ってきた際に履かせれば、屋外の汚れを室内に持ち込まずに済むという利点もある。ペットショップやホームセンターのペットコーナーで販売されているので、手軽に手に入る。ただし、犬・猫が普段履いていない靴下を嫌がることもあるので、慣れが必要だ。
こまめに爪を切る
ペットによるフローリングの傷は主に爪によるものなので、こまめに爪を切ってあげることも大切だ。頻繁に手足の状態を見ることで、爪の変形・変色などペットの状態をチェックすることもできる。
ワックスを塗る
どうしても傷をつけたくないという場合、または少しの手間をかけられるなら、傷防止のワックスをフローリングに塗るのも有効だ。
ペット用のワックスは傷を防止するだけでなく、滑り止めの成分も配合されているため、表面にコーティングすることで犬・猫にとってもより快適に歩くことができる。部屋の中でペットが出入りする部分にだけ塗布することができるので、家具を動かさなくても可能だ。
ペットに優しいドッグランコーティング
市販のワックスよりもさらに効果が高いのが、プロによるドッグランコーティングだ。一見同じようなコーティング剤だが、表面の硬度がより高いため、傷予防と滑り止めの効果が高い。また耐用年数も一般的なワックスに比べて長いので、長期的に見ればコストパフォーマンスが高いといえる。
このように、ペットとともに暮らす住まいでも、フローリングの傷を予防・補修する方法はいくつかある。これから建築を考えているなら入居前に対策できるし、入居後でも傷の状態に応じて補修しきれいにすることができる。
一番大切なのは、「人もペットも快適である」ということだろう。共生のための空間は工夫次第でいくらでも整えることができるので、ぜひ参考にしてもらいたい。
東住リペアのトップリペア職人。フローリング、壁はもちろんのこと、扉の穴やサッシなどの金属類、高級スピーカーなども補修可能な関西でNO.1のスキルを持つ男。無料見積もりしますのでお気軽にお申し込み下さい。無料見積もりのご依頼はこちらより。