住宅で多く採用されているフローリングは、デザイン性に優れ掃除のしやすさなどで人気の床材だ。しかし、経年によって色あせや変色が目立つようになる。
そこで、できるだけ長くフローリングの美しさを維持するために、フローリングの色あせや変色の原因と補修方法を詳しく解説する。
フローリングの色あせをそのままにしておく危険性と問題点とは?
年数が経過すればフローリングの色あせは仕方ない…と安易に考えてはいないだろうか?
フローリングは大きく分けて、無垢フローリングと呼ばれる単層フローリングと、基材(合板)の表面に天然木の単板や挽き板・化粧シートなどを貼り合わせてつくられている複合フローリングがあり、一般的に採用されているのが複合フローリングだ。
複合フローリングの表面化粧材は塗装が施され、フローリング本体を保護する役割を担っている。しかし、つやが失われ色があせるという症状は表面の保護機能が低下しているということだ。
放置すればさらに劣化が進み、毛羽立ち・ささくれ・ひび割れなどを起こし、最終的には表面の化粧材が剥がれてくる。小さな子供のいる家庭では危険にもつながるだろう。劣化を早めないためにも、色あせや変色は早めの補修が必要だ。
フローリング色あせのほとんどの原因が紫外線
フローリングの色あせは、ほとんどが紫外線による表面塗装の塗膜の劣化が原因だ。
一般的な複合フローリングは樹脂塗装(ウレタン塗装など)が施されている。この樹脂とは合成樹脂のことで、プラスチック(熱可塑性樹脂)といえばわかりやすいだろう。
合成樹脂は紫外線に弱いため、プラスチックの洗濯バサミなどを戸外に放置したままにすると、すぐに褪色し最後にはパリパリになって割れてしまった経験はないだろうか。紫外線があたるフローリングや家具の表面でも、これと同じようなことが発生する。
また、塗膜の劣化は歩行量の多さでも違いが出てくる。玄関の上り口や階段の真ん中部分などは、他の部分よりも色あせが早い。
単層(無垢)フローリングの場合は、天然木の味わいや温もりを残すために、コーティング系の塗装(ウレタン塗装など)は施さず、植物性由来のオイルを浸透させたり、蜜蠟ワックス仕上げを施したりするのが一般的。オイルは日光によって日焼けしやすいため、徐々に濃い色に変化していく。
単層フローリングの場合はこれを「経年美」といって楽しむ人も多いが、乾燥しすぎは劣化を早めるため、やはり直射日光はできるだけ避けたい。
紫外線以外のフローリング変色の原因
木質系床材は水に弱いという欠点を、複合フローリングでは化粧材表面の塗装によって補っている。そのため表面は水分をはじくようになっているが、こぼした水を長時間放置していると、目地部分などから水分がフローリング本体に吸収される。既に塗膜が劣化している場合は、表面からも水分を吸収する。その結果部分的に白くなってしまうことがある。
また、フローリングは強い酸性やアルカリ性に弱く、薬品や灯油・アルコールなどをこぼしたりペットが排尿したりすると変色を起こす。化学雑巾なども長時間フローリングに置いたままにしておくと、変色することがある。
さらに湿気の多い場所では黒く変色することがあるが、これはカビが原因。キッチンのフローリングの黒ずみは油の飛び散りが原因のこともある。
フローリングの色あせ・変色は、DIYで補修できる?
近年では、フローリングの色あせや変色に自分で手軽に対応できる製品(カラーワックスやカラーフローリング用ニスなど)が市販されている。
カラーは濃いブラウン系・薄いブラウン系・ナチュラルウッディ系などがあり、既存フローリングに近いカラーを選ぶ。それぞれの使用手順を以下に紹介する。
【カラーワックス】
①まず、床の埃や塵を掃除機できれいに取り除く
②床クリーナーで、汚れや油分を取り除く
➂水拭きをして、クリーナーの成分を取り除きよく乾かす
④カラーワックスをスポンジにとり、木目方向に塗布し、30分以上乾かす(厚塗りはしない、乾くまで歩行は不可)
⑤特に傷みの酷い部分は1~2回重ね塗りし、再度乾かす(周囲の色と調整が必要)
⑥最後にもう一度全体に塗布し、完全に乾かす(30分以上、乾拭きは不要)
※無垢フローリングなどのステイン仕上げ・ワックス仕上げの床や、塗装面が剥がれ木部が露出している床には使用できないので注意が必要。
【水性カラーフローリング用ニス】
①塗る面の埃やゴミ・カビ・油分・ワックスなどを取り除く(ワックスは床クリーナーなどを使用して完全に取り除く)
②床が傷んでいる場合は、♯240~320サンドペーパーで研磨し平滑にする
➂雑巾で水拭きをし、乾かす
④塗料を付けたくない部分はマスキングテープなどで覆う
⑤塗料を攪拌して刷毛などを使用し均一に塗布する(塗りにくい場合は水を加えてもよい)
⑥窓際などの色落ちの激しい部分は、絵筆などで色付けを行い周囲の色と調整する
⑦乾燥までの時間(1時間以上)は歩行不可
※水性カラーフローリン用ニスも無垢フローリングの無塗装やステイン仕上げの床には使用できない。また気温が5℃以下の場合は使用を避ける。
カラーワックスとフローリング用ニスの違いは、塗ってからの耐久期間に差があることだ。カラーワックスの場合は6か月程度だが、フローリング用ニスの場合は3~5年と長い。
また、フローリング用ニスの主成分はウレタン樹脂であるため、重ね塗りをするほど厚く強固な塗膜となるが、カラーワックスの場合は、厚塗りするとムラになりやすい。
DIYのメリットは低コストで補修できることだが、色の調整が非常に難しく、満足な仕上がりを希望する場合や、劣化が激しい場合は、プロに依頼することをおすすめする。
また、フローリングには耐用年数(15年~20年)があるため、15年程度経過したフローリングの場合は補修よりも張り替えをおすすめしたい。
フローリングを美しく保つために注意したいポイント
フローリングの美しさを長期的に維持するためには、以下のようなポイントに注意をしよう。
・フローリングの普段の手入れは乾拭きが基本。
・乾拭きで落ちない汚れは固く絞った雑巾で汚れを取り除いた後、乾拭きをする。
・皮脂汚れは中性洗剤を水で薄めたものや専用クリーナーを雑巾に付け、硬く絞って拭き取る。その後きれいな雑巾で2回以上水拭きをして、洗剤やクリーナーの成分を拭き取る。
・フローリングに水や飲み物をこぼしたら、すぐに拭き取る(長時間の放置はシミになる)。
・フローリングには、スチーム洗浄機の使用は不可。熱や水分で突き上げや膨れ、白化・変色・カビ・ひび割れを発生させることがある。
・水回りなどの湿気の多い場所では、カビが生えないように換気に注意する。
・紫外線が当たる箇所はカーテンや日焼け防止カーペットなどで色あせ防止をする。
・テーブルや椅子の引きずりで傷を付けないために、脚にフェルトなどを貼る。
・キャスター付きの椅子を使用する場合は、部分的にカーペットなどを敷く。
・重い家具を置く場合は、一部分だけ負荷がかからないように、家具の下に薄い板などを敷く。
・温風ヒーターを使用する場合は、温風が直接フローリングに当たらないように温風ヒーターの下にカーペットなどを敷く。
・ホットカーペットを使用する際は、ホットカーペットとフローリングの間に別のカーペットを敷いて、伝わる熱を抑える工夫が必要。
まとめ
床はインテリアの中でも、最も負荷がかかり傷みやすい箇所である。色あせや変色などに気付いたら、なるべく早めの補修をおすすめするが、まずはフローリングの特徴(水分や紫外線、湿気や乾燥に弱いなど)を知り、フローリングを傷めないように床に配慮した生活を送ることも大切だ。さらに、適切なメンテナンスを実施すれば、長期的に美しいフローリングを維持できるだろう。フローリングの耐用年数は、住む人しだいで変わってくることを知っておきたい。
東住リペアのトップリペア職人。フローリング、壁はもちろんのこと、扉の穴やサッシなどの金属類、高級スピーカーなども補修可能な関西でNO.1のスキルを持つ男。無料見積もりしますのでお気軽にお申し込み下さい。無料見積もりのご依頼はこちらより。